【事務所だより】社長の退職金対策、ちょっと待った! 役員報酬の増額で失敗しないためのポイント

税理士の平尾和也です。 今月も税金マル得情報を配信させていただきます。

今月は、役員報酬の一部否認というテーマです。

途中で増額してはいけないのは知ってるわ、と言われそうです。

法人が役員退職金を出す場合に、最終の役員報酬の額が計算に大きく関係することはよく知られています。

そのために退職に備えて事前に役員報酬を上げておきたいのですが、これを過大として一部否認されるということです。

それでは、内容の要約です。

1.退職金を考えての役員報酬増額について

社長が退職する際の退職金(役員退職給与)は、「最終の月額報酬 × 在任年数 × 功績倍率」 で計算されます。そのため、退職前に役員報酬を上げておくことで退職金を増やそうと考えることがあります。

しかし、税務上は 「過大な報酬ではないか?」 という点が問題になります。

国税庁の基準としては、

a.仕事内容

b.会社の業績

c.従業員の給与水準

d.同業他社の役員報酬の相場

これらを考慮し、適正な範囲を超えていないか判断されます。例えば、過去の裁判では 月額200万円の役員報酬が130万円と認定 され、差額が「過大」と判断されたケースもあります。

2.職務内容による判断

国税庁は、役員報酬が高すぎるかどうかを 「仕事内容に見合っているか?」 という視点で判断します。

ある中古車販売会社の社長のケースでは、

仕事内容は一般的な範囲内

会社の業績や従業員給与はほぼ一定

しかし、役員報酬は 5年で4倍以上に増加

このため、 同業他社の役員報酬の「最高額」を超える部分は損金不算入(経費として認められない) となりました。

3.役員報酬の増額をどう考えるべきか?

役員報酬を増やす際のポイントは、

a.業績(利益)が伸びていることを根拠にする

b.従業員の給与水準とバランスを取る

会社の利益が増えているなら、適正な範囲で役員報酬を増やすことは可能です。ただし、売上や利益が変わらないのに急激に報酬を増やすと、税務調査で指摘されるリスクが高まります。

4.退職直前の増額は要注意!

退職前の数年間で急激に役員報酬を増やし、その金額をもとに退職金を計算すると、税務調査で 「過大な役員報酬」「過大な退職金」 として否認されるリスクがあります。

この場合、法人税や所得税の負担が大幅に増える可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

まとめ

役員報酬の増額は 業績や従業員給与とバランスを取ることが重要

退職直前の増額は税務リスクが高い

過去の判例では、同業他社との比較が厳しく行われる

役員報酬の適正額については、専門家に相談しながら慎重に判断することをおすすめします。

判例にもありますが、同程度の規模の同業他社の役員報酬の最高額がかなり影響しています。

実際、非上場企業だとそんな金額を知り得ないのですけど・・・

否認されないためには、最低でも法人の収益と連動しているなど根拠を示したいところです。

さらに、従業員給与も上がっているとより説得的でしょう。

もちろん、もともと同業他社と比較しても低い報酬であれば、増額してもまったく問題はありません。

役員報酬は、役員退職給与や健康保険、定期同額などと関係し、奥が深いです。

当事務所では、こうした役員報酬の改定についても、お客様のお手伝いさせていただいています

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