税理士の平尾和也です。
今月も税金耳より情報を配信させていただきます。
今月は、経営判断を誤らないための「貸倒損失」戦略的マニュアルというテーマです。
それでは、内容の要約です。

回収不能な売掛金を「貸倒損失」として損金処理することは、合法的な節税策であり、財務体質の健全化に直結します。しかし、税務調査で否認されると追徴課税のリスクがあります。経営者が取るべき具体的な行動と判断基準を明確にします。
- 回収不能債権の処理:最も重要な判断基準「書面による債権放棄」を損金とするためには、債務者が「債務超過の状態で相当期間継続し、弁済を受けることができない」と認められることが必要です。
・「相当期間」の経営判断
・税法に形式的な年数の規定はありませんが、過去の裁判例では「3年〜5年」が言及されています。
・税務調査のリスクを避けるためには、この3〜5年という期間を一つの「安全ライン」として考慮するのが賢明です。 - 税務署がチェックする「貸倒損失」の客観的証拠
・債務者の状況だけでなく、あなたの会社(債権者側)が「真剣に回収努力をした結果、ムダだと判断した」客観的な根拠が求められます。最高裁判例に基づき、特に以下の点が重視されます。
| チェック項目 | 経営者としての意味合い |
| ① 債権回収に必要な労力 | 裁判や法的手続きにどれだけの時間と人員を割く必要があるか。 |
| ② 債権額と取立費用との比較 | 債権を回収するためにかかる費用(弁護士費用など)が、回収できる金額を上回るなら、回収努力は無意味と判断できる。 |
| ③ 強行な回収による経営的損失 | 無理な回収を試みることで、他の取引先や金融機関との関係が悪化し、長期的に会社の信用や収益を損なわないか。 |
→ 経営者として:「コストや労力をかけても回収は不可能・非効率である」という合理的な判断を示すことが重要です。
- 実行すべき期末アクション(最も厳格なルール)
貸倒損失として損金計上するための最も厳格なルールは、以下の期日です。
・書面による債権放棄の意思表示は、あなたの会社の決算期末日までに債務者へ「到達」**させること。
・「発送」では不十分です。決算日ギリギリの発送では間に合わない可能性があるため、余裕をもって早めに内容証明郵便などの準備と発送を完了させてください。
お知らせ
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